浜岡原子力発電所運転終了・廃止等請求訴訟弁護団より ~ご挨拶~

私たちは中部電力を被告とする浜岡原発の運転終了・原子炉の廃止等を求める裁判の弁護団です。静岡県弁護士会に所属する弁護士有志119名、愛知県弁護士会に所属する弁護士有志126名、他の弁護士会に所属する弁護士32名の合計277名(2012年12月11日現在)で構成されています。
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【2015年3月9日】第18回口頭弁論期日・第12回仮処分進行協議期日が開催されました

2015 年 3 月 9 日 月曜日 投稿者:浜岡原発運転終了・廃止等請求訴訟弁護団

【2015年3月9日】第18回口頭弁論期日・第12回仮処分進行協議期日が開催されました

<本訴の第18回口頭弁論期日>

2015年3月9日午前10時30分から、静岡地方裁判所201号法廷にて、本訴の第18回口頭弁論期日が開かれました。

被告は、前回とこの期日の間に、準備書面(16)を提出しました。

まずは、被告から、準備書面(16)について、口頭にて、以下のように、要点を説明しました。

被告は、私たちの側方流動の主張について、反論する。
被告は、地盤の液状化のメカニズムについて、砂丘堤防を含む周辺地盤調査を行った。
そして、耐震性、耐津波性について問題がないことを確認した。
また、一部の地盤は改良も実施している。
地震応答解析は、液状化も考慮している。
求釈名へも回答した。

私たちは、原告準備書面26原告準備書面27を提出しました。

これらの書面の要旨について、私たちは、口頭で、次のように説明しました。

原告準備書面26

(1)H断層系とは、浜岡原子力発電所敷地内及びその北側に存在する5条(5本)の断層をいう。
新規性基準にいう活断層であれば、原発の稼働は許されない。
被告は、H断層系は、新規性基準にいう活断層ではないと主張する。
しかし、H断層系は、新規性基準にいう活断層である。
H断層系は、放射性炭素年代測定により、少なくともほぼ1万年以降は活動してない。
これは、裏を返せば、1万年より前の活動は明らかでないことになる。

(2)また、被告は、H断層系が活断層ではないと主張するために、T11断層に堆積する礫層が笠名礫層(相当)であるとする。
T11断層とは,浜岡原子力発電所敷地の北側約150メートルに位置する断層(地層のずれ)である。
しかし、T11断層に堆積した礫層は,その直接の下位層を相良層としているのであるから,笠名礫層よりはむしろ御前崎礫層に相当するものと見るのが自然である。
したがって、被告の主張には合理性がなく,これを前提としてH断層系は活断層でない(後期更新世以降活動していない)とする主張には前提において誤りがある。

(3)被告は、ESR年代測定法(放射性炭素年代測定法の限界を超える数万~数百万年が適応範囲とされる)といった測定法を用いず、意図的に絶対年代測定による調査を避けているのではないかという疑問を持たざるをえない。

原告準備書面27

周辺住民への甚大な影響について、わかりやすくフリップを用意して説明しました。
原発事故から避難することは、憲法の人格権の問題である。
静岡で、果たして逃げられるのか。
静岡県は,三菱重工業株式会社に委託し,「浜岡原子力発電所の原子力災害に係る避難時間推計業務」の報告書を提出させている。
しかし、これは、役には立たない。
理由は以下のとおり。

避難には車を想定し、避難の時間は30時間とされるが、これには根本的な欠陥がある。当然想定されるべき、家屋倒壊、火災などによる道路の閉鎖が考慮されてない。
フリップにて、静岡県の地形が、北が山であるため、東西に逃げるしかないが、東西には川があり、川が寸断されたら逃げられない。
由比のさった峠付近では、道路が寸断される可能性もある。
また、フリップにて、富士川河口断層帯では、地震で7~10mの地盤の変位が予想され、落橋が考えられる。
静岡県は,平成25年11月,第4次地震被害想定を発表している。
そこでは、1ヶ月間、主要交通が普及しないことも想定されている。
もし1ヶ月逃げられなかったら、その間被曝が堆積していくことになる。

また、私たちは、口頭で、被告に対し、被告の主張は基礎付ける証拠が引用されてない ことがあり、こちらが検討できないことを伝えました。

<仮処分についての第12回目の進行協議期日>

また、口頭弁論期日の終了後、仮処分についての第12回目の進行協議期日が開かれました。

次の期日から、裁判官の左陪席(傍聴席から見て右側の裁判官)が代わるとのことで、その方も同席となりました。

裁判所から、各当事者への進行についての確認がありました。

被告としては、ひと通り書面提出したので、今回の原告準備書面26及び27への反論を検討するとのことでした。

私たちは、主要論点については、今日をもって出したこと、今後は、水蒸気爆発に関する被告への反論を行うこと、被告の反論に対する再反論も出す予定であることを伝えました。
また、期日で口頭で述べたことと重ねて、被告から証拠が出てない主張があること、例えば、防波壁の構造の主張など、こちらとしても、シュミレーションしたいのに、数値の固定ができないことを伝えました。

また、私たちは、次回の5月の期日において、河合弁護士が監督した映画を証拠請求したいこと、その証拠提出方法として、全部を映写すると時間が長いのでダイジェスト版を考えていると伝えました。

これに対し、被告は、映写をする必要がないのではないかと言っていました。

裁判所は、どのように進行するかは検討するが、弁論更新(裁判官の交代による手続き)が入るので、次回期日に関しては、新たな証拠の映写を行うよりは、今までの訴訟の説明の方がいいのではないかと考えているようでした。

<記者会見>

これらの期日終了後、記者会見が裁判所に隣接する弁護士会館で行われました。
記者会見の要旨につきましては、こちらをご覧ください。
平成27年3月9日記者会見要旨

<次回の裁判期日>

・裁判について
次回の裁判は、平成27年5月21日(木)午前10時30分@静岡地方裁判所 と指定されています。

<今後の予定>
 次々回期日:平成27年7月16日(木)午前10時30分
 その次の期日:平成27年9月15日(火)(!曜日ご注意!)午前10時30分

今後とも応援をよろしくお願いいたします。