2010年8月7日(日)午後1時30分から、静岡音楽館AOIにて、「浜岡原発を考える講演会(第1回)フクシマの報道されない真実~福島第一原発事故がもたらした悲劇~」を開催しました。一言で報告しますと、福島の事故及び浜岡原発に対する静岡県民の関心の高さを、あらためて肌に感じることのできた会でした。200名に迫る多くの方が参加され、用意した席が足りず椅子を追加で並べる盛況ぶりでした。
基調講演では、まず、福島県いわき市の渡辺淑彦弁護士から、原発の地元自治体が事故前から抱えていた構造的な問題,事故後の地元産業の被害,個人的な生活の変化、地元の弁護士に届く原発被災者の声などが紹介されました(詳しくは当日配布のレジュメ・資料をご参照下さい。)。
続いて、福島県郡山市の渡邊純弁護士から、子どもを抱える親として直面した苦悩を中心とした報告と、原発事故は公害問題であり、人災であり、安心して住み続けられる福島を取り戻すために国と東電が責任を持つべきだというお話がありました(詳しくは当日配布のレジュメをご参照下さい。)。
また、本日の講演会には、静岡県下の首長、県会議員、市議会議員のみなさまにご来賓としてお越しいただき、8名の方にご挨拶をいただきました。どなたからも、浜岡原発は絶対に容認できないという強いお言葉をいただきました。
さらに、当弁護団の青山雅幸事務局長から浜岡原発を危険であると考える理由の報告がありました。冒頭、政府や東電が福島第一原発の事故原因の究明を尽くさず、ごまかそうとするのであれば、それは、先日発生した中国の高速鉄道事故で中国政府が事故車両を土に埋めようとしたことと同等のことで、許されざる事態であると厳しく批判をしました。
当弁護団の葦名ゆき弁護士がコーディネーターをつとめたパネルディスカッションでは、パネラーの渡邊純弁護士から、仮に金銭的な賠償がなされたとしても、原発の近隣の人々の多くは第一次産業(農業、漁業、畜産業など)に就いており、金をやるから別の土地で再出発をしろといわれてもできないという切実な声が報告されました。また、原発被災者は、放射性物質は目に見えないためとても怖いけれど、自宅に戻りたい、しかしやはり怖いというジレンマにおちっているとの報告もありました。
渡辺淑彦弁護士からは、心から愛していた美しいふるさとの土地が汚されて、なんと表現してよいか分からないぐらいに悔しいという発言がありました。今回の事故は、国策で、経済的に弱い地域に原発が建設された結果なのであるから、国は何年かかっても、責任を持って福島にもとの環境を取り戻すべきだ。どうせ20キロ圏内には立ち入ることができないのだから、放射性廃棄物を福島県に埋めようなどという議論が出ていると聞くが、驚愕しているし、冗談じゃないという思いである。良い環境に住み続けることがすべての前提であり、それが原発事故によって覆されたことが非常に悔しいという発言もありました。
その後、原告3名が登壇し、原告となった理由、思いなどをお話しました。 (さらに…)